富山県「立山」絶景と紅葉を楽しむ!北アルプス最北の百名山

日本の山

北アルプス(飛騨山脈)の最北部に位置する立山連峰の主峰「立山」。立山とは「雄山(おやま)」「大汝山(おおなんじやま)」、そして「富士ノ折立(ふじのおりたて)」三山の総称です。中部山岳国立公園を代表する山岳の一つである立山は、日本でも数少ない氷河が残る山としても有名です。

スポンサーリンク

立山登山とコース案内

1 基礎知識

① 立山信仰と雄山

最高峰大汝山(標高3015m)を主峰とする立山三山が聳えている場所は、富山県中新川郡立山町芦峅寺(あしくらじ)。芦峅寺江戸時代から立山信仰の拠点として栄えた集落です。立山三山の最高峰は大汝山ですが、一般的に立山信仰の中心と言えば雄山神社の鎮座する「雄山」(標高3003m)です。

② 北アルプス有数の観光地

立山登山の玄関口である「室堂(むろどう)」に至るには「立山黒部アルペンルート」を経由します。登山口は富山県側と長野県側の2カ所がありますが、それぞれにケーブルカーやトロリーバス、ロープウェイなどを経由しなければ室堂にはたどり着けません。

マイカーでアルペンルートの玄関口にたどり着こうとすると、長野県側は「扇沢」(1433m)、富山県側は立山駅(標高475m)まで。あとは専用のケーブルカーやトロリーバスに乗り換える必要があります。従って余裕のある日程を組むことをおすすめします。

③ 手軽に上れる3000m級山岳

立山の盟主雄山と大汝山はともに3000m超級の高山であり、富士ノ折立(標高2999m)を含む立山三山は北アルプス屈指の山岳地帯
けれど、いずれも3000m級の高山でありながら手軽に登ることが出来るのも特徴の一つ。登山口の室堂ターミナルからなら往復約5時間で、立山の核心部を巡ることも可能です。

ただし、手軽に登ることが出来るとは言っても、そこは3000m以上の高山。防寒具や雨具など、必要最低限の登山装備は必須です。また、前夜車中泊などして睡眠不足のまま室堂にたどり着いた場合など、強行軍で雄山にたどり着こうとすると最悪「高山病」を発症しかねません。無理は禁物、十分注意が必要です。

2 コース案内「主峰雄山への道」

(コース地図 ヤマプラ)

(概要表)

出典:ヤマプラ

難易度日帰り・中級者向き歩行距離6.8km
コースタイム4時間50山頂の標高雄山3003m

(コースタイム)

(「一般コース」)
室堂ターミナル ⇒5分⇒ 室堂平広場 ⇒5分⇒ 立山室堂山荘 ⇒60分⇒ 一ノ越 ⇒ 60分⇒ 雄山 ⇒45分⇒ 一ノ越 ⇒65分⇒ 展望台 ⇒40分⇒ 立山室堂山荘 ⇒10分⇒ 室堂ターミナル

 

立山黒部アルペンルートの終点「室堂ターミナル」の建物を一歩踏み出せば、目の前には立山連峰の大パノラマが広がります。目の前の広場にある「立山玉殿の湧水」で喉を潤し、いよいよ立山登山に出発。

石畳を左手に進み、両脇に咲いている高山植物を見ながらしばらく歩くと眼下に深い藍色の「みくりが池」が現れます。分岐に出たら右折し、すぐに「室堂平広場」。右手奥に現れたのが「みどりが池」です。周りを囲む山々が透明の湖面に映し出されています。ベンチも置いてあり、絶好のビューポイントなので記念撮影をお忘れなく。そのまま進むと立山室堂山荘に到着します。

ここで「展望台」(室堂山)への分岐を通り過ぎ、いよいよ雄山へ向かって伸びる石畳のゆるやかな登山道を歩き始めます。時間があれば途中左手奥に、立山開山伝説が残る聖地「玉殿岩屋」「虚空蔵窟」があるので立ち寄ってみましょう。小さな石仏が数体安置されています。

登山道が傾斜を増してくると右手には万年雪の雪渓が現れてきます。程なく小さな広場に出ればそこが「祓堂」(はらいどう)。立山信仰では下界と神域の境界と言われる場所です。ここから登山道は階段状に変わり、登り切った鞍部が「一ノ越」(いちのこし)。トイレと宿泊の可能な「一ノ越山荘」が建っています。ベンチからは黒部平の絶景が見渡せますので一息つきましょう。

さて、ザックを山荘前に置いて、目指す雄山に登り始めます。砂地に大きな岩や石が混じるガレ場が続き、滑りやすい場所もあるので要注意。落石を起こしやすい場所でもあり慎重に登って下さい。二ノ越、三ノ越、四ノ越とそれぞれに小さな祠のある急なガレ場を登り切り、大岩の間を抜けるとようやく「雄山」山頂に到着です。

標高3003mの山頂には「雄山神社」が鎮座し、その奥にある岩峰の上に「峰本社」があります。峰本社への登拝は有料ですがお祓いをしてくれます。山頂からは鹿島槍ヶ岳爺ヶ岳奥大日岳大パノラマが広がっています。さらにその奥にはかつて「死の山」と怖れられた「剱岳」の岩峰を望むことも出来ます。

雄山山頂の目前に見えるのが立山三山の最高峰「大汝山」(標高3015m)往復40分ほどなので、時間があればぜひ立ち寄ってみましょう。山頂からの大展望を満喫したら、もと来た道を一ノ越まで戻ります。落石に注意しながら慎重に下ります。一ノ越で再びザックを背負い、五色ヶ原方向に向かいます。

大きな岩場を越えれば、富山大学立山研究所前に到着。目の前の分岐は浄土山を目指して直進します。南北に小広い山頂からは下りが始まります。やがてへ室堂平の分岐が現れ、左手に少し戻った場所が最終目的地である「展望台」到着です。

展望台からは眼下に広がる立山カルデラが一望できます。みくりが池、みどりが池の湖面が小さく光り、ここが今回の山旅のハイライト。室堂平への下山道を進み、浄土山登山口を過ぎます。
下っていくと石畳の登山道が現れ、やがてもと来た立山室堂山荘に戻ります。

立山登山と黒部アルペンルート

1 立山黒部アルペンルート

① アルペンルートの行程

立山黒部アルペンルートとは、1971年6月1日に開通した世界でも有数の山岳観光ルートです。総延長は37.2km。長野県大町市の扇沢駅と富山県中新川郡立山町の立山駅を結んでいます。

扇沢駅から順に「関電トンネルトロリーバス」、「黒部ケーブルカー」、「立山ロープウェイ」「立山トンネルトロリーバス」の順に乗り継ぐと室堂に到着。逆に立山駅からは「立山ケーブルカー」、そして「立山高原バス」の順に乗車すれば室堂に到着です。

首都圏から立山を目指した場合は、長野県側の扇沢駅から入山する方がアクセスしやすく、時間も相当短縮されます。また扇沢の次に立ち寄る「黒部湖」には、世紀の大事業として語り継がれている「黒部ダム」が建造されています。

さらに、黒部湖から黒部平に至る「黒部ケーブルカー」は、日本で唯一の全線地下式です。黒部平から乗車する「立山ロープウェイ」は、周囲の景観保護のため支柱が一本もなく、迫力満点です。それ以外にも電気で走るトロリーバスは、日本ではアルペンルートの2路線のみ運行されている貴重な乗り物であり、ぜひこの機会に乗車してみて下さい。

② 服装・装備と注意点

3000m級の山岳を控える立山山域では、標高と気温に応じた服装・装備が必要です。主な服装と装備のポイントは次の通り。

【春:4月~6月】
・ 春とはいえ、日差しが強いので着脱しやすいもの、動きやすく厚手のものを。
・ 標高1500m以上はまだ一面雪に覆われた白銀の世界。着脱しやすいセーターや厚手のズボンとトレッキングシューズが必須。雪の照り返しが強いので帽子やサングラスも必需品。

【夏:7月~8月】
・ 様々な高山植物が咲き乱れます。散策程度なら動きやすい普段着でも可能。けれど、立山トレッキングや縦走登山を計画するならレベルに応じた十分な装備が必要です。
・ 日差しが厳しいので、ひさしの大きな帽子と通気性の良いウェアが適しています。

【秋:9月~11月】
・ 全山紅葉に包まれ、室堂周辺や立山山域が最も美しい季節。澄み切った青空の下、気温もグンと低下するので、なるべく厚手で保温性の高いウェアを着用しましょう。
室堂周辺の10月中旬の平均気温は最高7℃です。防寒性のあるアウターやジャンパーが必須。保温性のある厚手のズボンが必要です。11月に入ると室堂の最高気温は平均で氷点下マイナス1℃しかありません。トレッキングに出かける場合には、冬山登山の完全装備が必要です。

以上が、立山周辺を訪れる際の服装・装備の基本です。

ところで立山黒部地域は、世界に誇る貴重な自然財産として国立公園に指定されています。そのため景観や動植物の保護が厳重に行われています。入山する際は、次の点に注意して下さい。

・ ペットを連れた入山は出来ません。
・ ごみは原則持ち帰りです。余った食料も持ち帰りましょう。
・ 動植物保護のため、トイレは決められた場所で済ませましょう。
・ 様々な高山植物が咲き乱れていますが、決められた登山道や散策道以外には決して立ち入らないよう注意しましょう。

2 黒部ダムと室堂平

立山黒部アルペンルート上のハイライトが黒部源流に建造されている「黒部ダム」と登山基地である「室堂平」です。

① 難工事「黒部ダム」

黒部ダム(通称「黒四ダム」)は1956年(昭和31年)に着工され、171人もの尊い殉職者を出して7年後の1963年(昭和38年)に完成しました。黒部川にかけられた水力発電所で、貯水量は2億トン。第二次大戦後の深刻な電力不足を補うため、当時から秘境の地であり、何度も失敗している黒部峡谷に黒部ダムは建造されます。

その過酷な建設の状況は、三船敏郎、石原裕次郎主演の映画「黒部の太陽」にも描かれ、当時大反響を呼びました。現在でも黒部ダムの畔には殉職者慰霊のレリーフが残されています。ダムの大放水の様子は一見の価値がありますが、建設当時の過酷な状況に思いを馳せるとまた感慨もひとしおです。

② 雲上の別世界「室堂平」と「みくりが池」

立山登山のベースでもある室堂平は、アルペンルート上の観光の拠点であり、多くの外国人観光客が訪れる雲上の別世界。みどりが池や北アルプスで最も深い高山湖である「みくりが池」、火山活動を目の当たりにできる「地獄谷」の景勝地を控えています。

みくりが池室堂バスターミナルから徒歩約10分の場所にあり、北アルプス屈指の美しい火山湖です。周囲約630m、水深が約15mの湖です。青く澄んだ湖面には、周囲を囲む3000m級の立山三山が映し出され、立山観光屈指の観光スポットになっています。

まとめ

見所満載の立山黒部アルペンルート上にある霊峰立山。北アルプスでも指折りのこの高山は、厳冬期を除けば気軽に訪れることの出来る観光地のすぐそばに聳え立っています。

春には約20m近くの高さに及ぶ雪の回廊をハイブリッドの高原バスが走り抜け、夏には様々な高山植物が咲き乱れる雲上の別天地。燃えるような錦秋の紅葉は訪れる観光客や登山客の心を釘付けにします。

けれど、3000m級の高山であることに変わりはありません。周到な登山計画と装備を忘れずに立山を訪れて下さい。きっと一生の思い出に残る山行が、あなたを待っています。

【アクセス】

■電車
富山県側:JR富山駅下車徒歩約9分-電鉄富山乗車約1時間-立山駅下車-立山黒部アルペンルート
長野県側:JR長野駅下車アルピコ交通バス乗車約1時間45分(例年4/16~11/30運行)-扇沢駅下車-立山黒部アルペンルート
:JR長野駅下車アルピコ交通バス乗車約1時間10分-信濃大町下車-アルピコ交通バス・北アルプス交通バス乗車約40分-扇沢駅下車-立山黒部アルペンルート

■マイカー
富山県側:北陸自動車道立山IC下車-一般道約35分-立山駅駐車場-立山黒部アルペン   ルート
:北陸自動車道富山IC下車-一般道約40分-立山駅駐車場-立山黒部アルペン   ルート
長野県側:長野自動車道安曇野IC下車-一般道約60分-扇沢駐車場-立山黒部アルペンルート

■飛行機
富山県側:富山きときと空港-路線バス乗車-JR富山駅-富山地方鉄道約60分-立山駅-立山黒部アルペンルート
長野県側:信州松本空港-一般道約20分-塩尻IC下車-長野道約10分-安曇野IC下車-信濃大町駅-路線バス約40分-扇沢駅-立山黒部アルペンルート
:信州松本空港-一般道約1時間20分-信濃大町駅-路線バス約40分-扇沢駅-立山黒部アルペンルート

問い合わせ先:立山黒部貫行(株)営業推進部 076-432-2819
くろよん総合予約センター   0261-22-0804

(参考文献)
・「日本百名山」山歩きガイド上 JTBパブリッシング P205
・立山黒部アルペンルート2018 時刻表&見所ガイド

コメント